ワガママLab

日々の生活の中で、本当は「こうなったらいいのにな」と思っているけれど、あきらめてしまっていることや我慢していること。心の中にしまっていること。

そんな気持ちを、私たちは「ワガママ」と呼んでいます。

生きていくうえで必要なモノがそろっている一方で、社会課題が山積し、生きづらさを抱える人が多くなっている現代。一人ひとりが感じているワガママを可視化し、叶えていく挑戦をすることが、持続可能なまちづくりにつながります。

ワガママLabは、こうした地域で暮らす人たちが心のどこかで感じている“ワガママ”を紐解くことで、まちの課題を見つけ、地域で暮らす方々や企業の皆さんと一緒にデジタルで解決する仕組みづくりをしています。

ワガママを言葉にすることは、誰かの幸せにつながる。そして、ワガママを叶える手段として、デジタルが役に立つ。それらを地域で多様な人たちが体感できる機会をつくっていきます。

課題解決に挑戦するデジタル人材を地域で育成し、官民が連携して持続可能なまちづくりを行う仕組みづくりをするのが「ワガママLab」です。

▼ワガママLabホームページはこちら

地域の課題を解決するデジタル人材育成プログラム「ワガママLab」

ワガママLabでは、地域課題を可視化して自ら解決に取り組むデジタル人材の育成をしています。デジタル技術の習得は手段として、課題解決に挑戦したいと思っている多様な人たちが参加できる仕組みづくりを大切にしています。

ワガママLabは、主に下記の3つのプロセスで成り立っています。

  1. ワガママ会議(地域課題をみつける)
  2. カタチにする(スマートフォンアプリをつくる)
  3. 理想の未来をつくる(チームをつくる)

1)ワガママ会議(地域課題をみつける)

地域で暮らす皆さんと「ワガママ会議」という対話の場をつくります。可視化されたワガママを整理し、その背景にある地域の課題を特定していきます。

2)カタチにする(スマートフォンアプリをつくる)

MIT App Inventor(MITアップインベンター)を用いて、地域課題を解決するアプリをつくります。地域の人たちと一緒にアプリの実証を行ったり、市内外への発表会も開催。デジタルは人の暮らしを良くする、という体感をすることを通して、地域でデジタルを活用して課題解決を行う人材育成につなげていきます。

  • 使用するソフトウェア:MIT App Inventor(MITアップインベンター)

マサチューセッツ工科大学が提供する直観的で視覚的なプログラミング環境で、誰でもスマートフォンやタブレット用のアプリを作成できるソフトウェアです。海外では、若者たちが生活水道の汚染による健康被害から住民を守るためのアプリを作ったり、水汲みの混雑を緩和するアプリを作ったりと、実際の生活の中の課題を自ら解決するために使われている事例も存在します。

  • 専門家:石原 正雄 氏

マサチューセッツ工科大学認定 教育モバイルコンピューティング マスタートレーナー
ワガママLab コンテンツ開発ディレクター トレーナー研修(プログラム開発/指導)

ボストン大学大学院修士課程修了。日本でのスクラッチやレゴマインドストームの普及に携わる。コンストラクショニズム(構築主義)に基づく教育学実践と教材開発をミッションとし、STEAM教育と人開発・組織開発に注力。日本で唯一のマサチューセッツ工科大学から教育モバイルコンピューティングマストレーナーに認定を受けています。

栃木県小山市で実施した事例はこちら:
地域の一人暮らしのお年寄りの困りごとを解決するアプリを、親子でつくってみよう ーMIT App Inventor体験編-

3)理想の未来をつくる(チームをつくる)

ワガママを叶えるアプリをきっかけにして、官民が連携した実証につなげていきます。また、地域に想いを持つ住民たちを中心とした中間支援組織「ワガママLab」の創業支援も行っており、自ら地域の課題解決を行う仕組みづくりに向けた伴走支援をしています。

実施事例:栃木県小山市

栃木県小山市で行った「女性の活躍×DXを推進するまち・小山市関係人口創出事業」のなかで一連の流れを実践しました。

小中学生とお母さんがペアとなり、一人暮らしのお年寄りの困りごとを解決するアプリを開発。それぞれの視点で発見したワガママを叶えるアプリが4つ生まれました。また、中間支援組織として「NPO法人おやまワガママLab」が2022年9月に立ち上がり、現在では理念に共感した市民たち約30人の組織となっています。毎月3日にワガママ会議を開催し、地域課題を自ら可視化する活動を行っています。

現在は小山市の課題解決に関わりたいという企業を、地域につなぐコーディネータの役割も担っています。住民たちのワガママを叶える活動として、企業と連携したデジタルを活用した課題解決のための活動を日々行っています。

ワガママを叶えるアプリをつくりました
MIT App Inventorを使ったアプリ開発の様子
事業全体の成果報告フォーラムの動画です

ワガママ会議

ワガママ会議とは、普段、地域や組織において声をあげる機会が少ない人たちのワガママを可視化し、解決するべき課題の本質を特定していくワークショップです。

「課題は何ですか?」「困っていることは何ですか?」と聞いても、満足な回答が返ってくるケースは多くありません。当事者たちにとって気が付いていても言いにくいものや、本人でさえも言語化できていない部分に、本当の課題が眠っていることもあります。

ワガママ会議では、誰もが発言をしやすく、さらに解決に向けて自分事として捉え行動を起こしたくなるような場づくりを行っており、地域の中間支援組織や、自治体、企業でも課題の可視化に活用されています。事例をご紹介します。

1.行政職員向け

大阪府阪南市、三重県桑名市、島根県津和野町、福井県あわら市、北海道東神楽町、群馬県庁などで行政職員向けに実施。日々の業務の中でのワガママを可視化し、それを解決するために各部署でできること、官民が連携して取り組むべきことを整理。行政内のDX推進をしていく際に職員が何に課題を感じているのかを可視化し、具体的なアクションにつなげていく前段として活用しました。

2.中間支援組織の立ち上げ・伴走支援

栃木県小山市の市民で組織している中間支援組織、NPO法人おやまワガママLabが主催で毎月3日に開催し、小山市に暮らす人たちのワガママを可視化しています。地域の人たちの「これをやってみたい!」という声を聞きながら、その背景にある地域の課題や個人の想いを深掘りし、データを蓄積していきます。時間帯や場所の決定、広報方法などを毎月工夫して実施しており、地域の多様なコミュニティと連携しながら行っています。

学生向けプログラム

自治体の事業として、学生を対象としたデジタル人材育成プログラムを実施しています。

  1. 講義・・・デジタル人材や地域課題について理解を深める
  2. フィールドワーク・・・地域で暮らす人たちのワガママを見つける
  3. アプリ開発・・・地域の課題を解決するスマートフォンアプリを開発する
  4. 発表会・・・地域の課題を解決するアプリ開発コンテストをする

1)講義

社会でデジタル人材が求められている理由、そして地域課題は自分で解決できることをシステム思考やデザイン思考を活用して講義を行います。

2) フィールドワーク

地域で活動する事業者の方や市民の方への取材フィールドワークを行い、地域で暮らしている人たちのワガママを可視化します。

3)アプリ開発

フィールドワークで発見した、地域の困りごとを解決するスマートフォンアプリをMIT App Inventorを活用して開発します。

4)発表会

関心のある市民や地域外の企業にも参加してもらい、地域課題を解決するアプリを発表するベントを開催します。

各地での実施事例

・茨城県鉾田市「令和4年度鉾田市若者地域連携プログラム構築業務委託」として「ほこたワガママLab」を実施
https://hokotawagamamalab.jp/

・三重県桑名市「高度デジタル人材育成」を目的として1Dayプログラムを実施
https://note.com/irodori_group/n/n8a4d8f54fa0e

ワガママを叶えるまちをつくる

地域でワガママLabを推進することを通じて、私たちがつくりたいのは「ワガママを叶えるまち」です。

特に、大きなイノベーションの種が眠っていると考えているのが、家庭内に閉じられている「無償労働」の領域です。

家庭内に閉じられたワガママを可視化する

男女共同参画白書の令和4年度版に、男女別に見た生活時間における、有償労働と無償労働の国際比較の図が掲載されています。注目したいのはそれぞれの定義です。

有償労働は、仕事や学業に関わる時間です。移動時間や準備などの時間も含まれます。職種や会社、学校が特定できれば大枠が見えてくる項目です。一方、無償労働は、家庭の事情、家族構成、地域性などによって変動し、情報が外に出にくい項目です。

有償労働に関しては経済活動に紐づいているので、課題を可視化して解決する役割の人たちがいます。一方で、無償労働は経済合理性が低い課題も多く、課題解決が充分に行われていないのが現状です。

こうした、家庭内や地域活動における“ワガママ”を可視化すること。そして当事者たちと連携した取り組みを起こすことで、企業においても新たな価値を創出する事業となり、自治体も本当に住民たちにとって必要な政策づくりにつながります。

ワガママを叶えるデジタル人材を、日本全国津々浦々に育成する

ワガママLabは、これまで課題を体感しながらも解決に参加する機会が無かった人たちと一緒に取り組んでいきたいと考えています。

生活におけるワガママを可視化し、それを叶えるアプリをつくる。それらをキッカケに、専門的に課題解決ができる企業や専門家と連携して事業や政策として取り組む。地域で継続的に活動をするチームをつくる。

こうした取り組みを栃木県小山市でNPO法人おやまワガママLabが先駆けて実践しています。

ワガママは、社会で人の役割を新しくつくります。まちの多様な人たちのワガママが集まれば、課題解決に向けて誰もが役割を持ち、活動に参加できる社会となります。

そんな「ワガママを叶えるチーム」を日本全国、津々浦々にインフラのように広げ、さらにワガママをきっかけに世界中の仲間たちとつながる。そして誰もが、まちに誇りを持って活き活きと暮らしている。そんな景色を見たくて、私たちはワガママLabを推進しています。

ワガママLabに関するお問い合わせ

デジタル人材育成したい、地域の課題解決を行う事業をつくりたい、自分のまちでもワガママLabをやりたい、など。お気軽にお問い合わせください。

自治体、法人、個人の方は下記フォームからご連絡お願いします。
お問い合わせフォーム

関連事業