【海外活動レポート】フィリピン開催・ISTR国際学会に参加 「たったひとりのワガママは、社会を動かすのか」

2025年4月22日から23日、フィリピン大学セブ校で行われたISTR(International Society for Third-Sector Research)アジア・パシフィック地域会議に、IRODORIの谷津と永井が登壇しました。「たったひとりのワガママが、社会を動かす」をテーマに、ワガママLabの実践を世界へ向けて発表したその様子をご紹介します。

1. ISTR会議 〜世界の“サードセクター”が集まる場〜

ISTRは、非営利組織やソーシャルビジネスといったサードセクターの研究者・実践者が集う国際学会です。アジア・パシフィック地域会議では、教育、地域活性化、コミュニティデザインなど多岐にわたる発表が行われ、世界各地の最新事例が交換されます。今回、私たちは「日本のローカルで積み重ねてきた取り組みが、世界でどう受け止められるか」を知りたく、この舞台に挑みました。

▼参考リンク
https://www.istr.org

2. 発表の狙いとポイント

テーマ:「たったひとりのワガママが社会を動かす」
ワガママLabでは、地域に暮らす人々の「こうなったらいいな」という小さな願い=ワガママをアプリにして可視化します。高校生や大学生が、自分自身のアイデアを開発・実装することで自己効力感を高め、周囲を巻き込んで新たな課題解決の挑戦を促す循環をつくり出してきました。

目指したこと

  • 実践の〈理論と成果〉をアカデミックに整理し、説得力を高める。
  • 「日本発のワガママLabが、ほかの国でも通用するのか」を世界の研究者に問いかける。
  • 新たな連携機会を見つけ、現地フィリピンをはじめ多国籍プロジェクトへつなげる。

▼ 当日発表したスライドはこちら(英語版)

3.世界でも共感を得られる「たったひとりのワガママ」の考え方

 永井「ワガママLabに対する、世界からの反応に自信」

永井:「学会は初挑戦で、発表スライドのまとめ方も試行錯誤でした。それでも、私たちのセッションに聞きに来てくれた方で会場が満席になり、たくさんの質問を受けることができました。『ワガママLabのコンセプトは世界でも通用する』と感じ、心が震えました」

  • 実践を学術的にまとめ発表する重要性
    世界中の学者がソーシャルビジネスなどを研究し、そこに規則性を見出す活動が日々行われていることを目の当たりにしました。研究を通して様々な動きが可視化され、名前がつけられ、世間に認識されることが社会を動かすことにつながると感じました。私たちも積極的に発表を続けていきたいです。
  • 「ワガママ」のコンセプトへの自信
    国境を超えて「ワガママ」の概念、そしてワガママLabの実践プロセスは共感を得られることがわかりました。多くの研究者にとって人の秘めた願いや地域を巻き込んだ社会変革は関心ごとのようです。「ワガママLabの仕組みが、世界中の秘めた願いを形にできるかもしれない」と希望を持つことができました。

谷津「日本の地域課題に取り組むことは、世界とつながる」

谷津:「今回改めて実感したのは、『日本のローカルで取り組むことは、世界の人々と通じ合える』という事実です。言葉や文化が違っても、課題に向き合う姿勢は国境を超えて共感でき、仲間になれることを確信しました」

世界から寄せられたコラボ提案

  • フィリピン大学の教授:ワガママLabを大学・高校のカリキュラムに導入し、地域課題解決プロジェクトを立ち上げたい。
  • オーストラリアの大学教授:インド系移民コミュニティ向けにワガママLabを活用できないか。
  • アメリカの研究者:ワガママLab実践の研究手法に関するアドバイス提供。

まずはフィリピン大学との協業からスタートし、現地若者を対象にファシリテーターを養成する予定です。

普遍的なテーマとしての「ワガママ」
「人が暮らし続けるために必要なものを、自らつくり出す」という行動原理は、国境を超えて普遍的な価値を持っています。だからこそ、日本の若者たちがつくったアプリの先にある「自分たちのまちの未来を自分でつくる姿勢」が、フィリピンやオーストラリアの若者にも響くと実感しました。

フィリピンで生まれた変化と今後へのアクション

  1. ワガママLab認定ファシリテーター養成(年内100名)
    日本国内でワガママLab認定ファシリテーターをまず100名育成します。大学とも連携し、「自分のワガママをアプリにする」ワークショップを開催予定です。
  2. World Conference(ポルトガル・リスボン)での発表
    2026年にリスボンで開かれるWorld Conferenceにて、今回の取り組みをまとめた発表を行います。日本とフィリピンの実践を通じて得た知見を、世界中の研究者に披露するチャンスです。
  3. 日比(日本―フィリピン)高校生アプリ国際交流プログラム
    交流を通じて、日本とフィリピンの高校生がお互いのアプリ開発事例をオンラインで紹介し合います。この活動により、異文化理解を深めると同時に、新たなアイデアや価値観を共有します。

地域で活動を行う実践者のみなさんへ「地域の挑戦は、世界につながる」を伝えたい

私たちIRODORIが地域現場で試行錯誤してきた理由は、「若者が地元で本気で挑戦できる土壌をつくりたい」と願ってきたからでした。今回フィリピンで得た最大の気づきは、「その想いは世界中で共感される」ということです。

「最初から完璧でなくていい」

私たちもまだ道半ばです。地域での挑戦を一歩ずつ整理し、世界へ届けるプロセスを一緒に歩んでみませんか?

興味のある方は、ぜひDMや当社サイトからお問い合わせください。