「2度目まして」から始まる、まちとの関係づくり。九十九里町地域おこし協力隊・活動報告会レポート

「はじめまして」の出会いを、次につなげていく。そのために、短い期間で「2度目まして」を増やしたい。

千葉県九十九里町の地域おこし協力隊として、情報発信を担当する福田さんが、活動報告会で語った言葉です。

地域のイベントに足を運び、写真を撮る。町の魅力を発信する。特産品を町の外へ届ける。そして、地域の人たちと一緒に汗をかく。

一つひとつは小さな活動かもしれません。しかし、そんな日々の積み重ねが、町の人との関係を育み、新しい挑戦のきっかけになっています。

今回、九十九里町で開催された地域おこし協力隊の活動報告会では、4名の隊員が、これまで取り組んできたことや、活動を通じて見えてきた課題、これから挑戦したいことを発表しました。

地域おこし協力隊の活動は、どのように地域との関係を育み、次の取り組みへとつながっていくのでしょうか。4名の報告から見えてきた、九十九里町での挑戦をご紹介します。

写真7,383枚から見えてきた、九十九里町の情報発信と地域との関係づくり

情報発信を担当する福田さんの報告で、まず印象に残ったのは、ある数字でした。

7,383枚。

3月の着任から報告会までに撮影した写真の総数です。

お祭りやマルシェ、入学式、田植え、運動会、地引網。福田さんは町のさまざまな場所に足を運び、そこで暮らす人たちの姿を写真に収めてきました。そのうち、町の広報や九十九里経済新聞、SNSなどを通じて発信した写真は180枚。


たくさん撮影してきた一方で、写真を十分に届けきれていないという課題も、率直に語られました。

今後は「届けるべき情報」「届けたい情報」「届けられる情報」を整理しながら、必要な人に必要な情報が届く発信を考えていきたいといいます。

ただ、福田さんが大切にしているのは、情報を発信することだけではありません。

町の行事や日常を撮影する中で感じたのは、九十九里町には、人と人とのつながりを大切にする文化があるということ。

地域で子どもたちを見守る大人たちや、世代を超えて続く関係。写真を撮るために足を運んだ場所で、町の人たちの話を聞き、町のことを知っていく時間が生まれています。

そこで大切にしたいと語ったのが、冒頭の「2度目まして」です。

一度会って終わりではなく、撮影した写真を届けたり、もう一度会いに行ったりする。そうして顔を合わせる回数が増えることで、少しずつ気軽に声をかけてもらえる関係になっていく。

今後はイベントのポスターやロゴ制作に加え、空きスペースを活用したマルシェやギャラリー、交流の場づくりも構想しています。写真を撮ることから始まった活動が、町の人たちとの関係づくりへ。そして、その関係から次の活動が生まれようとしています。

一年を通じて人が訪れる町へ。観光振興と地域資源を生かしたまちづくり

続いて、観光振興を担当する髙木さん。

発表の中で投げかけられたのは、「地域をおこすとは、何をおこすことなのか」という問いでした。

髙木さんが目指しているのは、一年を通じて人が集まる九十九里町です。


その実現に向けて、観光協会の法人化や、将来的な観光地域づくり法人(DMO)への発展を見据え、地域の関係者との協議や広域連携を進めています。

九十九里経済新聞を通じた情報発信のほか、浜から飛んでくる砂をガラス工芸品に生かすプロジェクトにも参画。観光という枠にとどまらず、自然保護やアート、福祉との接点にも目を向けています。

そんな髙木さんが紹介したアイデアの一つが、九十九里町と深い関わりのある「イワシ」を生かした町づくりです。町の案内やお土産、飲食、アートなど、さまざまな場所にイワシのモチーフを取り入れてみたらどうだろう。

地域に受け継がれてきたものを、今の暮らしや観光につなげていく構想です。もちろん、これから地域の皆さんと議論を重ねていく段階のアイデアです。

髙木さんは、町の人たちがそれぞれに持っている地元への思いや、すでに取り組んでいる活動に可能性を感じていると話しました。

一人ひとりが別々に取り組んでいることも、互いにつながれば、もっと大きな動きにできるのではないか。

その思いを表していたのが、「一緒に網を引く」という言葉でした。

観光を一人の力で盛り上げるのではなく、町の人たちと一緒に考え、動いていく。
九十九里町らしい表現の中に、髙木さんが大切にする姿勢が見えてきました。

特産品のPRから地域の清掃活動まで。農林水産分野の地域おこし協力隊の取り組み

農林水産分野を担当する井阪さん、舟元さんからは、九十九里町の特産品を届ける活動と、地域の人たちとの交流について報告がありました。

大阪、徳島、香川など、町の外へ足を運び、九十九里町の産品を紹介してきた2人。

実際に販売し、来場者と話すことで、町の産品への反応を直接知る機会にもなっています。普段、地元では当たり前のように目にする野菜やお米、水産物。

町の外に出て、その魅力を改めて知ることもあったそうです。一方で、2人が日々大切にしているのは、町の中での活動です。その一つが、毎週火曜日と木曜日に続けている清掃・美化活動。1回30分から1時間ほど、町の中で清掃を続けています。

最初は自分たちで取り組んでいた活動も、続けるうちに住民の方から声をかけてもらい、会話が生まれるようになりました。

「町民の皆さんと同じ目線に立って、同じ汗をかく」

特別なイベントを開くわけではなく、日々の暮らしの中で一緒に手を動かす。そんな時間が、地域の人たちとの距離を少しずつ縮めています。

ほかにも、一人暮らしの高齢者への声かけや、地域の文化・教育活動への協力、町内のマルシェへの出展など、活動はさまざまです。

特産品を通じて町の魅力を外へ届けること。そして、町の中で顔の見える関係をつくること。2つの活動を行き来しながら、九十九里町との関わりを深めています。

遊休農地の活用や新たな特産品開発。地域の声から生まれた次の挑戦

日々の活動を通じて、地域の事業者や住民の方と接する中で、新しく取り組みたいテーマも見えてきました。

その一つが、遊休農地の活用と、農業の担い手づくりです。

農家の高齢化や後継者不足について話を聞く一方で、人とのつながりや働く機会を必要としている人たちにも目を向けています。

農業をきっかけに、さまざまな人が関われる場所をつくれないだろうか。報告会では、貸農園や農園カフェなどを組み合わせた構想が紹介されました。

当初のアイデアをそのまま進めるのではなく、農業事務所との意見交換を経て、次世代の担い手を育てるという視点から計画を練り直している段階です。

また、九十九里町のお米を使ったおはぎの開発に向けて、事業者との検討も進んでいます。ただ新しい商品をつくるのではなく、九十九里町ならではの背景や、つくる人の思いも一緒に届けたい。

町の外で産品を販売することも、町の中で清掃を続けることも、地域の人たちの話を聞くことも。日々の活動の中で得た気づきが、次の挑戦を考えるきっかけになっています。

活動報告会は、地域おこし協力隊と住民・行政をつなぐ機会に

4名の発表が終わった後には、参加者との意見交換の時間を設けました。そこで話題になったのが、隊員の顔や活動を、もっと町の人たちに知ってもらうことです。

広報誌などで、一人ひとりの紹介や活動内容を継続して伝えられないだろうか。

今回の報告を聞いて、さらに詳しく知りたくなったという声もありました。また、九十九里浜は知られていても、九十九里町そのものは十分に知られていないという思いとともに、隊員の今後の活動への期待も寄せられました。

このやり取りで印象的だったのは、活動を知ってもらうこと自体が、地域との新しい接点になるということです。

隊員が何を考え、どんなことに取り組んでいるのか。

それが伝わることで、地域の人が声をかけやすくなったり、活動に関する情報を寄せたり、一緒に取り組むきっかけが生まれたりする。

報告会は、これまでの活動を振り返る場であると同時に、これからの関係を考える場にもなりました。

地域おこし協力隊の活動をどう支える?IRODORIの伴走支援

今回の報告会で印象的だったのは、4名それぞれが、地域の人たちとの関係を大切にしながら活動していることでした。

福田さんが大切にしている「2度目まして」。髙木さんが語った「一緒に網を引く」という言葉。そして、農林水産分野の2人が続けている、町の人たちと一緒に汗をかく時間。

地域おこし協力隊の活動は、隊員だけで完結するものではありません。地域のことを知り、人と出会い、対話を重ねながら、少しずつ活動を形にしていくことが大切です。

IRODORIでは、九十九里町の地域おこし協力隊の皆さんと日頃からミーティングを重ね、活動の伴走支援を行っています。今回の報告会も、隊員がこれまでの取り組みや今後の構想を共有し、地域の方や行政と意見を交わす機会となりました。こうした対話を通じて、隊員一人ひとりの挑戦が地域の新たな取り組みへとつながっていくよう、IRODORIも引き続き伴走していきます。

地域おこし協力隊の導入・活動支援に関する事例紹介と個別相談

地域おこし協力隊の制度を活用する中で、こんなことを考えたことはありませんか?

  • 隊員が地域になじみ、住民や事業者と関係を築くには、どのような支援が必要だろう?
  • 隊員の活動を、個人の取り組みで終わらせず、地域の課題解決につなげるには?
  • 活動の方向性や目標を、隊員と行政でどのように共有していけばよいだろう?
  • 他の自治体では、どのように隊員の活動を支えているのだろう?

IRODORIでは、多数の地域での実践を踏まえ、地域おこし協力隊の活動支援や、地域との関係づくりについてご相談をお受けしています。

「まずは具体的な事例を聞いてみたい」「自分たちの自治体の状況について意見交換したい」という段階でも構いません。

これから地域おこし協力隊の導入を検討している自治体も、すでに隊員を受け入れている自治体も、それぞれの状況や課題に合わせて一緒に考える機会がつくれればと思います。

地域おこし協力隊の事例紹介や、導入・活動支援に関するご相談をご希望の自治体担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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